BIZ&TECH Terminal

RN2

なぜ、いま日本人は"移住"しようとするのか――福岡の盛り上がりから見る、新しい移住の形

カルチャー

 2011年の東日本大震災以降、日本人の暮らしに対する価値観は大きな変化を見せつつある。特に"住"の分野に関しては、従来の東京への一極集中志向の解消から、「東京でなくても生活はできるのではないか」「都会にこだわる必要はないのではないか」と考える人が増えているようだ。

 そんな日本人の住環境に対する思考の変化に伴い、今新聞やテレビ、ネットとさまざまなメディアでピックアップされているのが「移住」というアクションである。この移住ブームを前に、「今動かずして、いつ動く」とU・Iターンに力を入れる自治体は少なくない。中でもこのブームの火付け役とも言える九州の福岡では、数年前から同地への移住を盛り上げる「福岡移住計画」なる任意団体も立ち上がり、都内をはじめ全国各地で様々なイベントを主催している。

 去る10月3日、東京・六本木では同団体が手がけたイベント「本田直之×福岡移住計画 あたらしい移住~脱東京->福岡行 スペシャルナイト」が開催された。当日は『脱東京 仕事と遊びの垣根をなくす、あたらしい移住』(毎日新聞出版)を上梓したばかりのレバレッジコンサルティング株式会社代表取締役・本田直之氏をメインスピーカーに迎え、「なぜ、いま移住なのか」をテーマにイベントを開催した。

rn2fukuoka1.jpg■本田氏「移住はiPhoneに似ている」

「私たちのライフスタイルは、これから『選択の10年』を迎えると思います」

 冒頭でそう語る本田氏。そしてこう続ける。

「移住というアクションの広まりは、日本におけるiPhoneの在り方に近いものがあると思います。iPhoneが日本に上陸した当初は、ボタンもマニュアルもないiPhoneが日本で売れるわけがないと言われていました。でも、今ではガラケーを持っている人はほとんどいなくなって、道行く人のほとんどがiPhoneを持つようになりましたよね。つまりシンプルだったり、オリジナリティあふれるものって、一気に生活に浸透するんです。それは地域への移住も同じものだと思います。この3年ほどで、移住が大きくトレンド化していますが、これからの10年でもっとこの流れは加速すると思います」

 現在はハワイと東京に拠点を構える本田氏だが、これまで50もの国を旅してきた人物でもある。

「僕もこれまで国内外いろんな地域を見てきたのですが、やっぱり面白いのって都会じゃなくて地方なんです。意外とアメリカやヨーロッパって、そんなにワクワクしない。それよりも、福岡のような独自の食材があって食文化があって、守られた歴史がある日本の地域ってとてもエキサイティングなんですよ。ただ、その面白さがまだ掘り起こされていない気がします。きっと、誰にでも地方に"面白いな"と思う要素はたくさんあると思うんです」

■間違いなく、福岡には仕事があります

rn2fukuoka2.jpg

 コンパクトシティを大きなアピールポイントにIT系スタートアップから熱視線が注がれている福岡市。クラウドソーシングサービスのランサーズ参入により、新たな働き方が生まれようとしている糸島市。そして不動産のリノベーションによって新しいビジネスのハコを提供している北九州市――いま、福岡は各地で新しい地域の形を模索する動きが誕生しているが、第二部では「福岡はなぜ注目されるのか」をテーマに、福岡各地の"仕掛け人"たちがエリアトークを実施。登壇したのは、福岡市経済観光局 山下龍二郎氏、株式会社ランサーズ 取締役COO 足立和久氏、そして北九州家守舎 遠矢弘毅氏だ。

 トークの中でも盛り上がりを見せたのが、移住を考える上でもっとも大きな壁となる「仕事」の問題について。登壇者たちは、福岡で仕事をすることにどのような考えを持っているのか。

山下:これは自信を持って言えるのですが、福岡には間違いなく仕事はあります。ただ、移住を考える上で「ちょっとのんびりしたいから田舎に行きたいな」という人は、もしかするとハマらないかもしれません。というのも、福岡市は今、街も企業もどんどん成長しているんです。そうした、成長過程にある福岡をいっしょになって成長させるような、アグレッシブに仕事ができる"攻めの移住者"を求めているのが、本音ですね。

足立:私は以前、楽天に務めていた際、楽天福岡支社の立ち上げに携わっていました。その時に実感したんですが、福岡には仕事がたくさんあるんですけど、商習慣が独特なんです。これは東京とは全く違うのですが、良いビジネスの提案をするより、飲んで仲良くなって、人間関係を構築したうえでビジネスが成り立つんです。ですから移住をして自分にフィットする仕事に出会えるかどうかは、地域のネットワークや人とのつながりの上で仕事をつくれるかがカギだと思います。

遠矢:仕事の有無というよりも、新しい仕事をつくりだす土壌はあると思います。それに、"一人勝ち"できるのもポイントです。東京ではやりつくされているビジネスも、ほどよい田舎の福岡であれば、十分に目立てますからね。安い家賃、安いご飯を食べながら、いかにいい仕事をするか。そう、腕試しがしたい人、自分で何かやりたいという人には、福岡はピッタリだと思います。

*  *  *

 本田氏は、「人生は壮大な実験ですから、自分が興味を引かれたものに素直になってほしい。そう考えれば、移住もそんなにハードルの高いものではなくなると思います」と語る。東京にこだわりすぎずラフに自分の人生を歩むことで、よりオリジナリティあふれる満足度の高い人生を設計できるのかもしれない。

■福岡移住計画
http://fukuoka-ijyu.jp/

2015.10.05 |

  • 一覧へ戻る

関連記事

  • radiko.jp
  • podcast
  • Sound Croud
ページの先頭へ

ラジオNIKKEI