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定時出社の概念を覆す発明! 遠隔出社を可能にする分身ロボットが誕生

September 26, 2016

 遠隔操作で自由自在に動かせる世界初の小型分身ロボットとして、昨年の7月に完成した「OriHime」。これまで、入院中で学校に通えない児童のためや、外出することが困難な高齢者や障がい者のための活用が主だったが、この度ビジネスシーンでの利用に向けたOriHimeBizがリリースされた。

 要望の多かったスケジューリング機能、一時ミュート機能、一時離席機能などを搭載している。その背景について、開発を手掛ける株式会社オリィ研究所の共同創設者CFO、結城明姫さんは次のように話す。

「開発者である吉藤(代表取締役CEO)は小さい頃から身体が弱く、学校や旅行に行けないことが多くありました。同様に、入院や単身赴任等で"学校や会社に行きたい、家族の元に帰りたい"と思っていても、それが叶わない人たちがいます。これまでは電話やSkypeでのやり取りが一般的でしたが、これらのツールは用件を伝えることには適していますが、"一緒に勉強している、働いている"といった時間を共有することはできませんでした」。

 そこで、"その人の第2の身体"となって、親しい人と時間を共有するためのデバイスとして分身ロボットOriHimeの開発をスタートする。

「OriHimeをビジネスシーンでご利用いただくことが多くなり、OriHimeは病気の方の専用のものではなく、むしろ多忙なビジネスマンや在宅勤務を希望するお母さんにも有効なものということがわかり、OriHimeBizの開発に着手しました」(結城さん)

 OriHimeはその人の分身となるロボットで、OriHimeの操作者はパソコンやiPhone等からインターネット経由で手や首を自由に動かし、OriHime側にいる離れた相手と話ができる。相手も、遠くにいる操作者と一緒に過ごしている感覚になれるという。
 
「OriHimeを操作する人は"まるでその場に行った気分"になり、OriHimeの周りの人は"その人がその場に行った気分"になれることです。そのOriHimeの魅力を生かしつつ、OriHimeBizでは操作者のプライバシーを守って常時接続できるような仕組みや、スケジュール管理機能など、ビジネスシーンでの利用において便利な機能を盛り込みました。苦労した点は、いかに存在感を伝達して、同僚がその場にいるような気軽なコミュニケーションや情報共有をできるかの研究開発です」(同)

■ベンチャーならではのスピード感が強みのひとつ

 開発者の吉藤さんは、高校時代に電動車椅子の新機構の発明に関わり、04年の高校生科学技術チャレンジ(JSEC)で文部科学大臣賞を受賞。さらに05年、アメリカで開催されたインテル国際学生科学技術フェア(ISEF)に日本代表として出場し、GrandAward3位を受賞している。
 
 07年にロボット工学で有名な早稲田大学に入学後、マンションの自室に開発材料を買い揃え、6畳の部屋で開発をスタート。その後、10年に遠隔人型分身コミュニケーションロボットOriHime人型バージョンは誕生し、ビジネスコンテスト優勝などの経験を経て12年に法人化した。

「これまでに100名以上の患者さんに使ってもらい、その都度フィードバックを受け、ユーザーと一緒になって改良していくスタンスで100台以上の試作機を作りました。必要な機能を追加・削除を繰り返して改良している、ベンチャーならではのスピード感は強みのひとつです。お客様からいただいたフィードバックを、その日のうちに実装できるエンジニアのスキルとスピードは他社にはなかなか真似できません」(同)

 今後は、相手の顔が見えたほうがいいというケースや、特殊なセンサーを付けて周囲の情報を集めるOriHime、肩に乗るOriHime、肉体労働ができるパワフルOriHimeなど、ユースケースに応じた様々なハードウェア開発に余地があると考えているオリィ研究所。さらにOriHimeで買い物をしたり、通訳や家庭教師をしたり、飲み屋に参加するなど、オフィスワーク以外の場所での企画も進んでいるようだ。
 
■OriHimeBiz
http://orihime.orylab.com/biz/

■株式会社オリィ研究所
http://orylab.com