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水は2種類ある? 極低温にするとガラス状の固体になる「アモルファス氷」とは

September 19, 2017

 ストックホルム大学を中心とする物理学者チームは、「水は、構造と密度に大きな違いがある2つの液体で存在しうる」との研究結果を発表した。

 地球の気象環境において水が重要な役割を果たしているのは言うまでもないが、特に融点や密度においてその他の液体と異なる性質を持つ。

 例えば、水は固体の密度>液体の密度となるため、固体(氷)が液体(水)に浮く(普通は沈む)、固体に圧力をかけると液体となる(普通は凝固して液体が固体になる)などで、こうした性質は70にも及ぶ。

 同チームが研究対象としたのは、「アモルファス氷」と呼ばれる過冷却して非結晶化した固体の水(非結晶化したガラス状の固体状態)。水を結晶化しないように、液体から急冷して極低温化することなどで生成できる。

 このアモルファス氷は、低密度(LDA)/高密度アモルファス(HDA)の2状態からなる。研究チームは、固体としてのアモルファス氷同様に、液体にも2種類の状態が存在するのではないかとの仮説を立て検証。-150~-140℃の条件下において、HDAからLDAへの変化過程における分子構造の変化を、アルゴンヌ国立研究所のX線分析装置を利用して解析、観察した。

 その結果、2つの異なる構造が確認され、さらにハンブルクの大型X線実験室DESY(ドイツ電子シンクロトロン)において、これらが両方とも液相であることが確認された。

 今回の研究結果について、ストックホルム大学の理論化学物理学教授であるLars Pettersson氏は「この新しい研究結果は、室温状態にある水は高密度/低密度のどちらかに一意に決定されず、2相間で局所的に変動する-という仮説を強く支持するといえる。一言で言えば、水は複雑な液体ではなく、複雑な関係性を持った2つの単純な液体である」と説明している。

 同チームの研究結果は、PNAS(米国国立科学アカデミー)に掲載されている。

■PNAS
http://m.pnas.org/content/114/31/8193.full