TOPICS

1本5000万円? 医療業界が本気で注目する癌の特効薬「キムリア」が話題に

December 15, 2017

 世界第2位の医薬品メーカーであるノバルティスは8月30日、新種のがん免疫薬がFDA(アメリカ食品医薬品局)の審査を通過したと発表した。

 「キムリア」と名付けられたこの新薬が、大きく注目されたのには訳がある。これまで、どんな薬や民間療法でも完治できなかった、「がん」に対する特効薬となりうるからだ。

 この治療法は、「キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)」という原理を用いている。ヒトの免疫細胞のうち、がん細胞を攻撃するT細胞を患者の体内から取り出し、がん細胞を発見するためのレーダーのような化合物(キメラ抗原受容体)を付加。がん細胞を攻撃するように加工し、体内に戻す-という仕組みだ。

 今回のFDAの承認は、小児/若年者向けの急性リンパ性白血病が対象となる。承認の根拠とした試験では、投与後3ヶ月以内に63人中52人(約83%)の患者が、完全寛解もしくは血球の完全な回復を伴わない完全寛解を達成したという。

 なお、キムリアによる治療を受けた患者のうち、6ヶ月後の生存率は89%で、12ヶ月後では79%だった。

 同時に、一回あたり47万5000ドル(約5300万円)という、飛び抜けて高額な治療費にも注目が集まっている。これは遺伝子操作技術に多額のコストを要するため。なおキムリアの治療費は、医療業界には非常に珍しい成功報酬制となっている。1ヶ月以内に治療の効果が現れない場合は、治療費は請求されないとのことだ。

 これまでも遺伝子治療によるがん治療などは行われてきたが、FDAによる承認は今回が初となる。遺伝子治療には、白血病など重篤な副作用を併発するリスクなどが課題として挙げられており、今後の研究結果に注目したいところだ。

■FDA
https://www.fda.gov/BiologicsBloodVaccines/CellularGeneTherapyProducts/ApprovedProducts/ucm573706.htm